もの忘れ外来(認知症外来):初回は時前に予約が必要です
当院では名古屋フォレストクリニックの院長河野和彦医師が考案された「コウノメソッド」に従って診療を進めていきます。受診時に現在服用されている薬の種類と量、以前に副作用が出た事のある薬を教えて下さい。問診では患者さんの日常をよく知る方にもお尋ねしますので、必ずご一緒に来院して下さい。簡易知能検査(改訂長谷川式)、時計描画検査、診察、採血・胸部レントゲン検査・心電図検査を行います。また、他院で頭部CT検査(脳の萎縮の程度を観察します)をお願いする事もあります。患者さん本人が心配そうであれば、家族のみに説明します(基本的に本人には告知しない方針です)。診断に基づき、その時の症状に有効な薬を選択して、本人の体質を考慮して必要な用量を処方します。その後に調整を重ねて、認知症に伴う困った症状が軽減する様にしていきます。
初診時は問診・診察におおよそ1時間近くかかります。相談・診察を希望される方はあらかじめ電話で受診予約をお願いします。診察に時間がかかるため、受診される方が多い場合には日時を調整させて頂く事があります。家族の方と一緒に来院して下さい。
認知症治療は総力戦です。介護されている方が心労で疲弊してしまわない様に抗認知症薬だけでなく、認知症の周辺症状(行動症状:徘徊、暴力・暴言、睡眠障害、無為・無反応等 心理症状:幻覚、不安・焦燥、抑うつ、妄想)を治療によって抑えられる様に、他剤やサプリメントも併用して本人らしさを取り戻せる様に努力します。
認知症を症状から考える
一般的には年とともに記憶力は低下してきて、次第に記憶が悪くなったり、曖昧になったりしてきます。それは記憶できる量が減少してくるからと考えます。忘れっぽくなったからといって、それだけでは家族はおかしいとは感じないと思います。
認知症といえば、出来事や経験を忘れてしまう記憶障害の病気と考えられがちですが、実際には色々な症状があり、心理面や行動面の変化が著しい時もあります。今まで出来た事ができなくなった・性格が変わった・活動的でなく寝てばっかりいる・転びやすいなど生活に支障がでてきた時に認知症なのではと疑っても良いかもしれません。
認知症の中でもアルツハイマー型認知症は、テレビなどでも多く取り上げられるようになり、最近では認知症=アルツハイマーという印象も重なって、よく耳にする病気の一つになっています。認知症と言っても、実際には様々な種類があり分類がなされています。ここでは認知症を次のように分けて考えてみます。これは名古屋の認知症専門の先生が提案している考え方で、わかりやすい考え方と思います。
- 記憶障害型(記憶がダメになった)
代表的な疾患はアルツハイマー型認知症です。明るく健康的に見えます。取りつくろいが出来るので初期ほど病気と気づきにくいです。症状の個人差が大きいため特徴があまりありません。迷子がありますが、次の行動障害型も迷子になります。 - 行動障害型(性格が変わって悪くなった、怒りっぽくなった)
性格や好みが変化します。我が道を行く、抑制が効かない、怠惰(ゴロゴロしている)、こだわりが強い、言葉が解らないなどの症状が見られます。認知症テストで満点を取り、問題ないと言われる事もあります。代表的な疾患が前頭側頭葉変性症になります。 - 意識障害型(良い時と悪い時で症状に波がある、寝てばっかりいる)
代表的な疾患がレビー小体型認知症です。症状が動揺する事があり、会話中に寝たりしてしまうことも。幻視(見えない物が見える)やうつ状態、パーキンソン病様の症状から発症する事もあります。意識が障害されるので移動がしにくくなり、次の4とも重なります。 - 歩行障害型(歩きが悪い)
歩きにくく、転びやすい・移動できないなど、代表的な疾患が脳血管性認知症・正常圧水頭症などです。脳血管性認知症の場合、食事中にムセやすい、泣きやすい等も見られる事があります。他に指定難病が含まれる事もあります。
認知症は上記の様子が複雑に重なって症状にあらわれる事もしばしばです。同居の方や介護されている方は現在の様子がどうか、他に気になる症状はないか等、よく観察してかかりつけ医に相談して下さい。